政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 真白は小さく溜息を吐くと、軽く背伸びをして俺の右耳より少し上の位置を触った。

「ここ」

「捕まえた」

 完全に油断していた真白を、今度こそ腕の中に閉じ込める。

 何度でも騙され、隙だらけになる真白は本当にかわいい。

「ちょっと!」

「さっきよけられて傷ついたから、ちゃんと癒してくれよ」

「こんなことしてたら、仕事に遅れちゃうでしょ」

「一緒に遅刻しような」

「秋瀬くんっ」

 もがいたところで、真白は俺の力に敵わない。

 腕の中にすっぽり収めてしまえば、だんだんと抵抗も弱くなっていく。

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