政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 一番かわいいのは、これ以上俺の相手をするものかと早足で立ち去ろうとするところだ。身長差三十センチのせいで、真白の歩幅は俺に比べるとかなり小さい。だから真白が一生懸命離れようとしても、俺は普通に歩いて距離を詰められる。無駄なあがきがあんまりにもかわいいせいで、彼女を怒らせるのをやめられない。

 そうやって子供じみた嫌がらせをする俺を嫌わずに好きだと言ってくれるところも、よく今までかわいすぎて失神せずにいられるなと自分に感心するぐらい愛らしかった。

 むっとした顔で真白が睨んでくる。そんな顔をしてもキスしたくなるだけだと、あと何度キスすれば彼女は覚えてくれるのだろう。

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