政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 昨日だってベッドで死ぬほど囁いたのに、と思うのは野暮なのだろう。きっと真白は何十何百と好きを伝えても俺への要求をやめない。なんだかんだ言いながら、俺のその言葉を喜んでいる証拠だ。

 俺の妻は、かわいい。とてもかわいい。

「好きだよ、しろちゃん」

「……真白って呼んで」

 誰か早くここに救急車を呼んでくれ。

 ささやかなおねだりに、間違いなく今、心臓が止まった。

「まだ、仕事に行くまで余裕あるよな」

「え?」

 真白はいつも余裕を持って行動する。八時半に家を出ればいいのに、七時半に朝食を用意するところとか。

 だから、今日もまた俺に付け込まれる。

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