政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「わかった。この際、嘘でもいいよ。なんともないのが一番だしね」

「優しいな。キスしていい?」

「しないで」

 調子に乗った秋瀬くんは、断ったにもかかわらず、私にキスをした。そのまま抱き締めようとした腕を押しのけ、「安静」を言い渡す。

「じゃあ、真白が抱き締めて」

 ほら、と秋瀬くんが私に向かって腕を広げた。

 秋瀬くんを安静にさせるなら、私が動かなければならないのはわかる。でもこの男はちょっと遠慮がなさすぎるのではないだろうか。いや、もともとそういう人ではあるけれど。

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