政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 俺の肩をがしっと掴み、唇を重ねるだけでなく甘噛みまでする。柔らかな唇に食まれ、ますます身体の奥に熱が集まった。

「ほんとに襲うから。そのぐらいでやめてくれ」

「やだ」

 しがみついた真白がぶんぶん首を横に振る。俺の妻は本当に酔うと手に負えない。かわいさを堪能したいが、今は非常によろしくない状況だ。

 妻なのだからいいだろうという思いと、妻だからこそ正気ではないときに手を出すべきではないという思いで、頭の中がどうしようもなくぐちゃぐちゃになる。

 そんな葛藤など知る由もなく、真白は俺を見上げて緩く微笑んだ。

「秋瀬くん、大好き」

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