政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 真白は今、俺の上に乗っている。だから直接、俺の欲求を感じているはずだ。それが気まずくてならない。かといって俺からどけようと身じろぎすると、柔らかな太ももがかすめて息が詰まる。

 やんわりと真白の肩を押しのけようとするも、その手を掴まれた。

「ベルト、外そうか?」

 頬をほんのり赤く染めながら、真白が無邪気に尋ねてくる。

 なんとも情けない気がしたが、ここまで耐えた自分を心の中で褒めておいた。

「わかった。俺の負けでいいよ」

 両手を軽く上げ、すべてを諦めて息を吐く。

 もう理性は捨てておこう。どうせ我慢したところで、彼女は俺を誘惑するのをやめないに違いないのだ。

< 275 / 342 >

この作品をシェア

pagetop