政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「俺も寂しかったよ。真白はいい抱き枕だったんだなって思い知った」

 靴を脱ぐのも待たずにキスを贈ると、なんとも言えない顔をされた。

「ここだと落ち着かないよ、真白さん」

 茶化すように言って、軽く私を押しのけようとする。秋瀬くんらしからぬ行動だ。

「秋瀬くん」

「ちゃんと相手するから。荷物だけ置かせてくれ」

「やだ」

「あのなぁ」

 ふう、と息を吐くと、秋瀬くんはキャリーケースをその場に置いたまま、ひょいっと私を抱き上げた。靴を脱ぎ散らかし、リビングへ向かって歩き出す。

「俺だって真白不足で死にそうなのに、そっちばっかりずるいだろ」

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