政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 文句を言う秋瀬くんは無視してぎゅっと首に抱き着く。

「こんなにデレてくれるなら、毎日出張しようかな」

「ずっと家にいてくれなきゃ嫌だよ」

 そう言った私を、秋瀬くんはリビングのソファに下ろした。当然のように押し倒すと、すりすりと手で私の頬を撫でる。

「せめてシャワーを浴びる時間ぐらいはもらえると思ってたんだけど、無理そうだな」

「一緒に浴びる?」

 荷物の片付けも、おみやげの確認も、着替えさえ待てない。

 さすがにそこまで言われると思わなかったのか、秋瀬くんが目を丸くした。

「え、マジ?」

「秋瀬くんがしたいなら……」

「いや、それはもういろいろしたいけどさ」

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