政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 証明しようか、と秋瀬くんが寄せてきた唇を拒まずに受け止める。

 私自身の涙でほんの少し濡れたキスは、いつものくすぐったい甘さと違って切ない味がした。

「真白は俺のこと、冷たくされただけで泣いちゃうくらい好きだったんだな」

 しみじみ言われ、頭の中でぷつんと音が聞こえた気がした。

 カッと頭が熱くなり、気づけば秋瀬くんの頬を左右から思い切り引っ張ってしまっている。

「好きに決まってるでしょ! 嫌いだったらもう離婚してるよ!」

「いたたたたた」

 肩を押しのけるときも、足を踏むときも、これまではずっと手加減してきた。だけど今日は手加減しなくていいはずだ。

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