政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 今日、なにを私はこんなに悩んでいたのだろう。秋瀬くんはこれまでそうだったように、子供じみた嫌がらせをしてきただけだったというのに。

「じゃあ、こうしよう」

 秋瀬くんの両の手首をそれぞれ掴んで押さえつける。

「私も秋瀬くんが普段触るように触るから、耐えて」

「え、耐えろってなに」

「ついでにくすぐるかもしれないけど、気にしないでね」

 ハッと秋瀬くんが目を見開く。

「いや、俺、くすぐり弱いんだけど」

「知ってる」

「こら、やめ――っ」

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