政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 と、まあこんなわけで父は秋瀬くんを気に入っている。秋瀬くんも父をもとから尊敬していたとあって、よくいずれ会社を継ぐにあたりどうすればいいのかなど、相談をしているようだ。

「そんなにおじいちゃんって呼ばれたがってるとは思わなかった」

 呆れて言った私に、母がくすくすと笑みを返す。

「向こうもそうらしいよ」

 母の言う向こうとはひとつしかない。

 もうひとつの和泉家。そう、秋瀬くんのご両親である。

「泰時さんも孫を見たがってるの?」

「本人は絶対認めないけどね。最近、子ども用の服や小物をよくチェックしてるみたい」

< 326 / 342 >

この作品をシェア

pagetop