政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 彼はいつだって私を邪魔する目の上のたんこぶだった。からかって面白がりこそすれ、恋愛感情があるようには見えなかったのに。

「なんでだと思う? 考えておいて」

「ん」

 また、キスを許してしまった。勝手な真似をして私を振り回さないでほしい。

 でも一番許せないのは、自分のしたいようにする秋瀬くんではなく、それに流されてしまっている私自身だ。

 結婚は受け入れている。相手が秋瀬くんであっても、この際仕方がない。だけど好きでもないのにキスを許す必要があるのか。

「わ、私、秋瀬くんを好きじゃないよ」

「なら、好きにさせてやろうか」

 私よりもずっと大きく男性的な、骨張った手が肩を掴んできた。そうして秋瀬くんは私をシーツの上に押しつけ、さっきよりも深く荒っぽいキスを仕掛けてくる。

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