政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 初めて秋瀬くんを男の人だと思った。私よりずっと背が高くて力の強い、年上の男。今まで手加減していただけで、私の抵抗なんかものともせず好きにできるのだと。

「ん、んぅ」

 噛み付くようにキスされて声がくぐもった。これまではもっと優しかったのに、呼吸の余裕も与えてくれないような、深く奪うような口づけ。

 声を出そうとすると、開いた唇の隙間から舌が侵入してきた。ひくりと喉が鳴り、なすすべなく秋瀬くんのぬるい体温を受け入れさせられる。

 くち、と舌が絡んだ瞬間に聞こえた微かな水音が、ひどく淫らに聞こえて身体に熱が集まった。口蓋も頬の内側も、ここにはないアイスの甘さを求めるように時間をかけて舐められる。

< 81 / 342 >

この作品をシェア

pagetop