政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 そうして十六時の五分前。その十分前から休憩を取っていた私は、会議室に向かいながら父と電話で話していた。

「そんなに心配しなくても、ちゃんとやれてるって」

 最近の父からの連絡は、もっぱら秋瀬くんに関係する内容だ。夫婦生活はどうか、うまくやれているのか、父の口から秋瀬くんの話を聞くと胸がチリチリする。

 それが昔ほどではなくなったのは、やはり酔った勢いですべてぶちまけてしまったせいだろうか。

 ――君を評価してくれる人は、お父さんだけじゃないだろ。

 嫉妬している張本人に言われた言葉が、なによりも私を支えてくれるなんて悔しくてたまらない。

『急な結婚だったからね、お父さんも心配してるんだよ』

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