俺様社長はハツコイ妻を溺愛したい
「なんてことするのよ…!」
声を荒らげても、蒼泉に支えられてなきゃ立ってられないので、威勢はあまりよくない。
「俺のものだって目印、つけといた」
「目印って…まさか……!」
嫌な予感しかしなくて、急いで洗面所に駆け込む。
やっぱり………!
鏡に映る自分の首に、かぁーっと頭に血が昇る。
首筋にくっきりとついた立派なキスマーク。
これが、蒼泉の言う目印ってわけね。
やってくれた、彼奴め。
また、恥ずかしさと怒りで頭がいっぱいになっていると、背中でクスクス笑う声が聞こえた。
「な? ついてるだろ」
な?じゃないわよ!
「蒼泉のバカヤローー!」
思いっきり叫び、蒼泉を洗面所から追い出す。
今日も一番風呂、入っちゃうんだから!
「あ、今日風呂沸かすの忘れてたから、シャワーだ」
鍵を閉めた扉の向こうからそんな声が届く。
そうだった。昨日はいつの間にか蒼泉が沸かしてくれていたけど、今日は片付けがあったから。
明日からは、私が完璧に沸かすことにしよう。
衣類を脱ぎながら固く誓って、広くて綺麗なお風呂場に入った。