チャラい彼は、意外と一途
恋人みたいな仕草にドキッとする。
こんなことしないで……
湊君のことをますます好きになっちゃうよ。
ドキドキしているこの気持ちを隠すために早く食べた。
あっという間になくなるティラミス。
「食べたな。もう行くか」
食べ終わると、席を立ち上がってレジへ。
全部湊君が払ってくれて、何度もお礼を言った。
「気にしなくていい」
小さく笑みを浮かべて言う湊君。
かっこいいな、湊君は……
「今日は楽しかったよ。それに、奢ってくれてありがとう。じゃあね」
これで本当に終わり。
帰らないと……
「ふゆ」
なのに、今度は呼び止められた。
「えっと、何?」
「俺と一緒に帰らないか?」
「あ、うん。いいよ」
まさか誘われるとは思ってなかったけど……
私と湊君の家はものすごく近くて、向かい合ってるからね。
わざわざ断る理由もない。
「なら、帰るか」
「うん」
歩き出した湊君を追いかけた。
「うわ、寒いね」
まだ11月だけど、外はすごく冷たい。
「だな。マフラーとか持ってくればよかった」
「確かにね」
これは失敗したね。