チャラい彼は、意外と一途


すると、湊君が私の手を握った。


「み、湊君?」


「こうすれば、少しは寒さ薄れるだろ」


手を握った手を見せて、にっと笑う。


私は顔が赤くなってる、絶対。


こんなことされたら、誰でもこうなっちゃうよ。


湊君はずるい。


握られた手と手がだんだん温かくなっていく。


温もりに変わってく。


「またな、ふゆ」


「うん、バイバイ」


いつの間にか家に着いて、お互い別れた。







それから月曜日に。


学校に登校すると、紗奈ちゃんが抱きついてきた。


「ふゆー、おはよう!」


「おはよう、紗奈ちゃん。元気になったんだね」


「うん!私がいなくて寂しかった?」


「うん、寂しかったよ」


紗奈ちゃんの元気な様子に安心する。


それに、嬉しい。


紗奈ちゃんのこうして元気な姿が見れるのが。


「あ、そうだ。聞きたいことがあったんだけど、ふゆ檜山君と付き合うことになったの?」


えっ……


「な、何でそんなこと聞くの?」


「噂になってるわよ。ふゆと檜山君が手を繋いでたって」


嘘、そんな……


手を繋いでいたっていうのは、昨日の帰り。


あれを見られてたなんて……



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