チャラい彼は、意外と一途


「違うよ!まず説明するね」


このままだと萌ちゃんにも誤解されちゃう。


焦る気持ちを抑えながら、順を追って説明した。


金曜日に湊君に萌ちゃんの誕生日プレゼントを買いに行こうと誘われたこと。


その後に喫茶店に行ったこと。


帰り一緒に帰ったこと。


その時、寒いからと手を繋いでくれたこと。


「なるほど。じゃあ、この噂は誤解ということね」


「うん、そうだよ。だいたい今は萌ちゃんと付き合ってるのに、私と付き合うとかないよ」


「それもそうね」


紗奈ちゃんの誤解が解けた。


「この噂、結構広まってるのかな?」


「広まってるわね。結構な範囲で」


どうしよう……


絶対、萌ちゃんにも。


……でも、湊君が何とかしてくれるよね。


「ふゆちゃん、檜山と付き合ってるってほんと!?」


クラスのムードメーカーの男の子が話しかけてきた。


声が大きい。


そして、周りの人も注目してるような気がした。


「ううん、付き合ってないよ」


私が首を振ると、皆安心したような顔になる。

 
どうして、そんな顔をしてるの……?


結局は萌ちゃんと付き合ってるのに。


あ、萌ちゃんならいいけど、私なら納得できないってことかな。



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