チャラい彼は、意外と一途
でも、ちょっとびっくりした気持ちもあるかも。
だって、もう別れてると思ってたから。
「どうせ会うなら、律先輩がよかった」
「紗奈ちゃんはそればっかりだね」
それくらい好きなんだろうけども……
紗奈ちゃんをこんなにも好きにさせてしまう凍堂先輩はすごいな。
「だって、凍堂先輩は本当にかっこいいもの」
「確かにそうだね。でも、佐野先輩も顔はかっこいいよね?」
「顔はね。でも、チャラいからアウトでしょ」
確かに。
佐野先輩と付き合ったら浮気されてしまいそうだし、本当に好きだったら疲れてしまいそう。
「さっさと行くわよ!」
これ以上見たくないらしく、私の手を引っ張って佐野先輩から遠ざかった。
私は、今日は日直。
日誌を書き終わって、帰る準備をする。
鞄を持って、教室を出た。
人は私以外誰もいないから、なんか薄暗く感じる。
階段を降りて、昇降口へまっしぐら。
昇降口に着いて、靴を履き替えて外に出る。
外に出ると、雨が降っていた。
その中で相合い傘をしている男女2人。
傘越しからでも分かる……あれは、湊君と萌ちゃんだ。