チャラい彼は、意外と一途
でも、この声は前に聞いたことある。
女の子に出してるのは初めてだけど。
「もういいわよ!そんな女と仲良くしてなさい!バイバイ、佑都!」
顔が怒りからか赤くなっていて、その勢いで去っていった。
取り残された私と佐野先輩。
「あの、ありがとうございました」
「いえいえ。ていうか、お礼とか言わなくてもいいよ。元は僕のせいなんだから」
確かにそうかもしれないけど、助かったのは事実。
あっ、でも何で分かったんだろ……?
「佐野先輩、どうしてここにいるって分かったんですか?」
「あぁ。それはね、紗奈ちゃんが僕に連絡してくれたからだよ。僕ちょうど律のそばにいたから、事情聞いてすぐに探したんだ。多分、人気のないところに連れていくだろうから、まずはここの廊下に来てみたら、ちょうど当たってたんだよね」
紗奈ちゃん、凍堂先輩の連絡先持ってたんだね。
進展してるなぁ……
そんなずれたことを考えながら、佐野先輩に感謝した。
殴られるところを救ってもらったからね。
「そうだったんですね。助かりました」
「ん、間に合ってよかったよ」
そこで殴られたという言葉を思い出して、佐野先輩の顔をまじまじと観察。
見ると、1人の女の子から叩かれたとは思えないくらい腫れてる。