チャラい彼は、意外と一途
「からかわないでください」
「からかってないって。本当にふゆちゃんは可愛いんだから」
いくら慣れてるからって、そんなこと言うのはやめてほしい。
自分でも分かるくらい顔が赤くなってるから。
慣れてないんだ。
「っ、もういいです!次行きましょう!」
「はいはい」
優しい笑みを浮かべているのを見て、胸の奥が熱くなった気がした。
「そろそろイルカショーが始まるから行った方がいいね。他は後で見ようか」
「……そうですね。行きましょう」
それを誤魔化すように早々とそのイルカショーがあるところに向かった。
着くと、すごい人の数。
「うわー、すごい人だねー」
「ですね。平日なのに」
座るところはほぼ埋まっていて、あんまりない。
「ここ座ろう?」
「はい」
座る場所がないからだけど、くっついて座らないといけないかは私と佐野先輩は密着状態。
ちょっと離れて座りたいけど、しょうがないよね……
「そんなに嫌?僕と密着状態で座るの」
「何でそんなこと聞くんですか?」
「ふゆちゃん、顔に出てるから」