チャラい彼は、意外と一途
そんなに出てた?
自分じゃ分からないけど……佐野先輩が言うならそういう顔をしてたんだろうな。
「んー、やっぱ手強いよね。まぁ、簡単に手に入るとは思ってないけど」
「何がですか?」
「それと、鈍い」
言っている意味が分からなくて聞いただけなのに、鈍いと言われてしまった。
よく言われるけど、そんなに鈍いかな、私……
「あっ、職員さんが出てきた!ショーが始まるよー!」
考え込んでいたら、無邪気な声が聞こえてきてステージに目を向けた。
その子供の言うとおり、職員さんが出てきて軽く挨拶を始める。
「皆さん、イルカショーを見に来てくださりありがとうございます。では、イルカショーの始まりです」
スタートという言葉と同時に、イルカが高くジャンプした。
私と佐野先輩は結構前の席にいたため、イルカがジャンプした時の水がかかってしまった。
私と佐野先輩はおかげでびしょびしょ。
今、制服だけど乾くかな。
とりあえず、あとから着替えた方がいいかも。
それからも、3匹が同時に高くジャンプしたりとたくさんの芸があって、より濡れてしまった。
「ここで、手伝ってもらいたいと思います。誰かフラフープを持っていただけませんか?人数は2人です」
多くの人が手を挙げた。
大人から子供まで幅広い範囲で。