チャラい彼は、意外と一途
「キモイなんて、僕初めて言われた」
佐野先輩は面白そうに言う。
「いくら、綺麗な子のお願いでもそれは聞けないな。僕、ふゆちゃんに興味があるから。あんな風に一途に想っているなんて、どんな気持ちなのかなって」
……つまり、私をおもちゃにしたいってこと?
「ふざけないでください。ふゆ、行こう」
私の手を引いて、席に戻った。
「もう、何なの!あの先輩は!」
「変わった先輩だよね」
「えぇ、そうよ。それに、噂以上にチャラい!」
あはは、紗奈ちゃんすごく嫌ってるな。
「あんな先輩に関わらない方がいいわ」
「うん、できれば私もそうしたい」
あんな風に軽々しくキスしてくる人は苦手だから。
できれば、関わりたくない。
切実にそう思った。
でも、佐野先輩は休み時間のたびに来るようになった。
そのたびに、女の子の視線を集めてたけど……
だいぶ疲れてきた。