チャラい彼は、意外と一途


見えなくなると、私は自分の席に戻った。


「佐野先輩、中村さんのこと萌って呼んでるのね」


「うん、そうだよ」


そういえば、球技大会の時はちゃん付けで呼んでたから、紗奈ちゃんは呼び捨てで呼んでたこと知らないもんね。


「ふゆは知ってたの?」


「うん、前に聞いたから。佐野先輩と萌ちゃん、付き合ってたんだって」


紗奈ちゃんの驚いたような顔。


そんな顔しても可愛いなんて美人っていいなってずれたことを考えながら、そうだよねって納得する。


驚くよね。


私も始めて聞いた時は驚いたから。


「なるほど、そういうこと」


えっ……?


「檜山君の理由は分かってたけど、中村さんのは分からなかったのよね。でも、その話聞いてようやく分かった」


佐野先輩も紗奈ちゃんも、湊君の理由は分かるんだね。


それより、今の話で分かったって……


「これはすごいことになりそうね」


何やら紗奈ちゃんは全て分かったみたいだけど、私はバカだからか全然分からない。


でも、聞けばいいから。


湊君よりも、萌ちゃんに聞いた方がいいかな。


私も聞きやすいし。


萌ちゃんを探してたら、萌ちゃんにばったり遭遇した。


「萌ちゃん!」


「えっ。ふゆちゃん!」


< 161 / 300 >

この作品をシェア

pagetop