チャラい彼は、意外と一途
私が来るのが分かってたような顔をする萌ちゃん。
ちゃんと答えてくれるんだよね……萌ちゃん。
「私と湊のことが聞きたいんだよね?」
「うん、そうだよ。2人はどうして別れたの?」
距離を置いてると聞いた時からずっと知りたかったこと。
早く知りたい……
「お互いの気持ちがすれ違っていったの。湊のことは自分で言うだろうし言えないけど、私のことなら言える。私、前に佑都先輩と付き合ってるって言ったよね?」
「うん、そう聞いたよ」
お互いの気持ちがすれ違ってる、それが佐野先輩のこととどうして繋がるんだろう……?
「私は吹っ切ってたつもりだったんだけど、吹っ切れてなかったみたい」
「えっ……?」
頭の中が?でいっぱいになる。
どういうこと……?
「また佑都先輩を好きな気持ちが再燃したの。そのことに気づいたのが湊君とふゆちゃんがデートする前だった」
嘘、そんなに前から……?
それよりも、萌ちゃんは佐野先輩のことが好きなの……?
驚きの連続でついていけない。
「そのことで私はすごく苦しんだよ。湊のことが好きなはずなのに、何で今更佐野先輩を?って。でも、気持ちは増していくばかりで。その頃には、湊も私のことを好きじゃなくなってた」
分からない、分からない……
ちゃんと教えてくれたのに、分からないことが増えていく。
1番驚いたのは、湊君が萌ちゃんのことを好きじゃなくなってたって言葉。
あんなに萌ちゃんのことが好きだっていうのが分かるくらいだったのに……あんなに愛おしそうにしてたのに。
どうして……?
最近何度思ったのからないこの言葉が頭の中をぐるぐる回る。
「ちょうどよかったんだ。それで、私達はお互いの気持ちを確かめるためにキスをした」