チャラい彼は、意外と一途
すごく意外だった。
萌ちゃんが心変わりするなんて。
皆思うわけないだろうな……
萌ちゃんが湊君じゃなくて、佐野先輩をまた好きになってしまったこと。
湊君がもう萌ちゃんのことを好きじゃなくなってしまったこと。
湊君に関してはちゃんと本人に聞いてないから分からないけど……
それでも、私にとって意外なことに変わりなかった。
「ふゆ」
その時、そう呼んだのは佐野先輩ではなくて……
「湊君?」
そう、湊君だった。
珍しいな……湊君がうちのクラスに来たことないのに。
「これはもしかしたら……」
「なんか知ってるの?紗奈ちゃん」
「ううん、何でもないわ。それより、行ってきなさい」
「う、うん」
何やら紗奈ちゃんは何か知っているようだったのが気になったけど、立ち上がって湊君の方へと行った。
「どうしたの?湊君。湊君が来るなんて珍しいね」
「あぁ。ふゆ、放課後中庭に来てくれないか?大事な話がある」
大事な話……?
何だろう、それ……
「分かった。いいよ」
「そうか。それだけだから行くな。じゃあ、また後で」
「うん、じゃあね」
話が終わったから、自分の席に戻った。