チャラい彼は、意外と一途
「でも、湊君は萌ちゃんと付き合ってたよね?萌ちゃんのこと好きで付き合ったんじゃないの?」
「いや、最初は違った。最初は萌の気持ちが嬉しかったから付き合っただけだった。でも、萌のことは途中から本当の意味でちゃんと好きになった」
それは知らなかった。
でも、やっぱり分からないよ……
好きなのに、どうして……?
「萌のことを愛おしくて本当に好きだと思ってた。でも、ふゆが佐野先輩と絡むようになってからなんかイライラしてきて。佐野先輩なんかとつるまなくていいって思うようになっていった。最初は何故か全く分からなかった。でも、途中で分かったんだ。俺はふゆのことが好きだと。ふゆのことを誰にも渡したくない、そう思っていることに。ふゆのことは本当はずっと前から好きで、多分近すぎてその気持ちを自覚できてなかった。でも、今は思う。ふゆ、俺はふゆのことが萌よりも好きなんだ」
頭が真っ白になった。
それを湊君のことを好きな時に言ってくれたら、私は間違いなく喜んでその告白を受けた。
でも、今は……私は佐野先輩のことが好き。
今それを言われても困るよ。
不意に湊君を好きだった頃を思い出した。
あの時、私は本当に湊君のことが好きだった。
毎日、湊君を思い浮かべるほど。