チャラい彼は、意外と一途
こんなに怒るなんて珍しい。
よっぽどだね。
まぁ、私も好きじゃないけど。
むしろ、苦手だ。
ああいうチャラい人は何考えてるのか分からないし。
本当に関わりたくないな。
いつも通り授業を受けて、放課後になる。
どこか行きたいところがあるという紗奈ちゃんとは別れて、1人で帰ろうとしたら
「あ、一ノ瀬!ちょっと待ってくれ!」
先生に呼び止められてしまった。
確か、この先生は湊君の担任の先生だったはず。
どうして、呼び止められたんだろう?
「何ですか?」
「これ、檜山に届けてくれないか?」
そう言って渡されたのは、プリント。
「あの、どうして檜山君に……」
「知らないのか?檜山、今日風邪で休んだんだよ」
えっ、そうだったんだ……
全然知らなかった。
でも、萌ちゃんなら知ってるはずだよね。
「そうだったんですね」
「あぁ。一ノ瀬は確か檜山の家の近くだよな?それをついでに届けてほしいんだ。いいか?」
「はい、分かりました。ちゃんと渡します」
「すまないな。よろしく頼む」
「はい」