チャラい彼は、意外と一途


「認めてなかったですけどね。っていつか、そんなに前じゃないですよ」


プイと顔をそらしながら、そう答えた。


「ふゆちゃん、照れてる?」


「照れてません!」


「そっか、僕の勘違いか」    


佐野先輩はたちが悪い。


分かってるくせに聞いてくるんだから……


「ふっ。ふゆちゃん」


「何ですか?」


急に真剣な顔をした佐野先輩に首を傾げる。


何だろう……?


「僕はふゆちゃんのことが本気で好きです。もう泣かせないし、離さない。大切にするよ。だから、僕と付き合ってくれる?」

 
……佐野先輩は本当にずるい。


真剣な目でそんなこと言って……そもそもら私も佐野先輩のことが好きだから断れるわけないのに。


「私も佐野先輩のことが好きです。よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくね」


付き合うことになったって紗奈ちゃんに帰ったら、報告しなくちゃ……!


「よし、帰ろうか」


「そうですね」


余韻に浸ってる場合じゃない。


結構ら外暗いし急いで帰らないと。


「ふゆちゃん、送ってくよ」


「えっ、いいですよ」


さすがに悪い。   


それに、佐野先輩の家と私の家って逆方向だし。


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