チャラい彼は、意外と一途
すぐに手を洗って、ビーフシチューを食べ始めた。
お母さんの作る料理は全て美味しいけど、その中でもビーフシチューが好きなんだ。
寒い冬にはもってこいの料理だし。
一口食べるごとに、心の中まで温まっていくようだった。
「美味しい」
「そう、それはよかったわ」
お母さんはにこにこ笑っていて、お父さんはもう食べ終わってしまっている。
楽しい食卓。
いいことがあったばかりの私は至福に満ちていた。
お風呂から上がって何もかも終わった私は、ベットにゴロリ。
紗奈ちゃんに連絡しないと。
スマホを手に取って、紗奈ちゃんにかける。
「もしもし、紗奈ちゃん」
『もしもし。結果を言うために連絡してきたのよね。どうだった?』
結果なんて聞く前から分かっているというような声。
それでも言わないとね。
「佐野先輩と付き合うことになりました」