チャラい彼は、意外と一途
『おめでとう!』
「ありがとう!」
『すれ違い続けてやっとだもんね。よかったわ。正直、佐野先輩よりいい人なんてたくさんいるような気もするけど、ふゆが選んだ人だから、素直に安心したわ』
さ、紗奈ちゃん、それは酷いんじゃないかな……
それに、佐野先輩だって……
「佐野先輩だっていい人だよ。一途だし」
『軽く惚気られた。でも、そうね。佐野先輩、ふゆだけに一途みたいだから。それが1番いいことだもの。本当によかったわね。じゃあ、ふゆ。わざわざ連絡してきてくれてありがとう。おやすみ』
「うん、こっちこそありがとう。おやすみなさい、紗奈ちゃん」
ピッと切れたタイミングで、佐野先輩からメッセージが。
【おやすみ、いい夢見てね】
ふふっ。
些細なメッセージでも、頬が緩んでしょうがない。
【佐野先輩もいい夢見てくださいね。おやすみなさい】
スマホを眺めながら、幸せいっぱいな気持ちになる。
本当に幸せ……
両想いがこんなに幸せな気持ちになれるなんて知らなかった。
夢心地にいた私は、まだ問題が解決してないことに気づいていなかった。