チャラい彼は、意外と一途
もう佐野先輩と凍堂先輩もいて、こちらを手招きした。
私と紗奈ちゃんは謝ってから、佐野先輩達に近づく。
私はまず凍堂先輩にお礼を言わなきゃ。
そう思って、佐野先輩じゃなくて凍堂先輩に話しかけた。
「凍堂先輩」
「どうかした?」
「昨日はありがとうございました」
「あぁ、あれか。別にお礼なんかいいのに。あ、言い忘れてたけど、おめでとう。佑都をよろしくね」
「ありがとうございます。でも、凍堂先輩のおかげなので、ちゃんとお礼を言いたかったんです」
「礼儀正しいね、ふゆちゃんは」
優しく笑ってくれる。
性格いいんだな、凍堂先輩は……
こんなに完璧な人なら、紗奈ちゃんが好きになるのも分かるかも。
「何、その会話。律、随分ふゆちゃんと仲良くなったんだね」
「ははっ、佑都妬いてるの?」
「……」
えっ……
佐野先輩が嫉妬……?
びっくりして佐野先輩を見ると、少し顔が赤くなっていた。