チャラい彼は、意外と一途
そう思いながらも、勝手に入らせてもらう。
湊君の部屋がどこにあるかなんて、幼馴染みの私には分かる。
湊君の部屋に入ると、ぐっすり寝ているようだった。
……これじゃあ、ドアホンが鳴ったことに気づかなくても無理ないね。
近づいてみると、少し苦しそうな表情をした湊君の寝顔が見えた。
今、おばさんもおじさんもいないだろうし、きっと今まで自分でなんとかしてたんだろうな。
湊君は人に頼ろうとしないから。
このままだと、きっとよくない。
コンビニで買った物を置いて、洗面所に行った。
そこでタオルと洗面器を見つけて、洗面器に水を入れた。
それを湊君が眠っている部屋に持っていき、水で濡らしたタオルを湊君のおでこに置く。
これで、少しでも下がったらいいんだけど……
そう思いながら、湊君を見つめる。
……本当に整ってる。
寝顔で、それがよく分かる。
それでいて、いつもより少し幼く見えるんだよね。
「はぁっ……萌……」
その時、湊君が萌ちゃんの名前を呼んだ。
彼女なんだから、当たり前かもしれない。
でも……私には辛かった。
湊君は萌ちゃんのことを本当に好きなんだって、再認識してしまったから。