チャラい彼は、意外と一途
にこっと笑ったのを最後に遠ざかっていった。
2人きりになった私と佐野先輩。
「これでようやくケジメをつけることができたよ」
「よかったですね」
「うん」
佐野先輩と萌ちゃんの関係は恋人同士でもあったけど、幼馴染みでもあった。
私と湊君みたいに。
確認したいし、今なら聞けるかも。
「あの、佐野先輩と萌ちゃんって幼馴染みなんですか?」
「そうだけど……どうして、そのことを知ってるの?」
「えっ、あ、えと……」
まさか、萌ちゃんの告白現場を見ていたからですなんて言えない。
まごまごしていると……
「まぁ、いいや。どこかで聞いたんだよね?」
「あ、はい。そうです」
聞いたと言えば聞いたし。
間違ってはない。
もしかしたら、佐野先輩には分かってるかもしれないけど。
「どうして言ってくれなかったんですか?」
「あぁ、それは湊君には伝えない方がいいと思ったから。言えば、何らかの形で伝わってしまうかもしれないと思ったからね」
「湊君にですか?」
「うん。湊君って案外嫉妬深いみたいだったし、僕と萌が幼馴染みで付き合ってたなんて知ったらいちいち目の敵にされたかもしれないし、湊君に余計な疑いをかけられたくないからね。最低だなとは思うけど、僕は面倒くさいことに関わりたくないから」
なんて言ってるけど、多分湊君を思ってだよね。
まぁ、確かに湊君は嫉妬深いかもな……