チャラい彼は、意外と一途
「すべて終わったし、改めて言わせてもらうよ。ふゆちゃん、僕と付き合ってください」
「ふふっ、昨日も言ってましたよね」
「まぁね。昨日はすっかり忘れてたもんだから。それよりも、返事は?」
「分かってるくせに……返事はもちろん“はい”です。佐野先輩、改めてよろしくお願いします」
これで、本当に付き合うことになったんだ……
「ところで、いつまで僕のこと名字で呼んでるの?」
「え、えっと……」
「湊君のことは名前で呼んでるし、僕のことも名前で呼んでほしいな。ほんとは敬語も取ってほしいけど、それはまだいいから」
た、確かに。
幼馴染みの湊君は名前で呼んでて、彼氏の佐野先輩を名字で呼んでるなんておかしいよね。
敬語は取らなくていいって言ってるし、佐野先輩のお願いは出来るだけ叶えてあげたい。
「わ、分かりました」
「なら、呼んで?」
じっとこっちを見られて、緊張してしまう。