チャラい彼は、意外と一途


ただ名前に変えるだけなのに、こんなに緊張するなんて……


「ゆ、佑都先輩」


私がぎこちなく名前を呼ぶとら佐野先輩……じゃなくて、佑都先輩は嬉しそうな顔をした。


「やっぱり特別だからかな。すごく嬉しいよ」


そう言って、ぎゅっと抱きつかれる。


「もう、佑都先輩……ここ学校ですよ?」


「ごめんね、嬉しくて」   


答えになってない。


でも、元からこの人はスキンシップが激しい人だから、しょうがないのかも。


そう思っている私はだいぶ慣れたんだろうな……


それでも、ドキドキしてしまうけど。


「こんなとこでイチャつくとは大胆ですね」


そんな時、声が聞こえた。


恥ずかしくなって、佑都先輩の胸を押して離れると……


「あ、湊君」


そこには湊君が立っていた。


「邪魔されちゃったな。湊君、いつからいたの?」


「今来たんですよ」


「ほんとかな?なんか怪しいけど」


湊君に見られて恥ずかしい思いをしてるのに、佐野先輩と湊君はその間普通に会話していた。


「堂々としてますね、佐野先輩は」


「そう?」


「そうですよ」


うん、それは思う。


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