チャラい彼は、意外と一途
胸がぎゅっとなって苦しい。
私の方が先に湊君を好きだったのに。
湊君への想いの強さは誰にも負けない自信があるのに。
なんて、思っても仕方ないようなことを考えてしまう。
順番なんて、関係ない。
それは、よく分かってるつもりだった。
でも、醜い私が顔をのぞかせてしまう。
真っ黒な感情が湧き上がってきた。
分かってる、私が悪いんだって。
告白すればよかったのに、私は告白をしなかった。
関係を壊してしまうんじゃないかって恐れて。
だからこそ、こんな風に思う資格なんてないのに……
厄介なもんだよね。
「湊君……」
いるのは、私なんだよ。
萌ちゃんじゃない。
そう思っている私。
萌ちゃんに嫉妬してる。
こんなの湊君に見せたくない。
自分の嫉妬深さに呆れてしまった。
でも、それくらい湊君のことが好きだから。
それ以外の人を好きになることは、きっとない。
「ん……はぁっ……萌?」
目を覚ました様子の湊君。
虚ろな目をこちらに向けてくる。
悲しくなりながらも、心の中で謝った。
ごめんね、萌ちゃんじゃなくて……
「萌ちゃんじゃないよ。ふゆだよ」
「ふゆ……?何でここに……」
「先生に頼まれたんだ。このプリントを渡してこいって」
「あぁ、そうだったのか。ありがとな」