チャラい彼は、意外と一途
『いや、普通祝ってほしいでしょ。私だったら、絶対言うわ』
「そっか。でも、いいんだ」
確かに、佐野先輩は私の誕生日を知らない。
それでも、その日一緒にデートできるんだ。
一緒にいられる、それが何より嬉しかった。
『ふーん、そう。ふゆがそう言うならいいけど。ねぇ、ふゆ。ふゆはクリスマスプレゼントのことで悩んでるんでしょ?』
「うん、そうなんだ。何かいいアイデアある?」
『ふゆからキスしたら?』
「えっ……?」
き、キス……?
「な、何で?」
「佐野先輩が喜びそうだから」
た、確かにそうかもしれないけど……き、キスはまだちょっと。
したことないのに……
ほっぺはあるけど、それでも……それに、前今度は唇に言ってたし。
その今度がいつかは分からないけど。
「で、でも、恥ずかしいよ。まだやったことないし」
『はっ!?やったことない!?』
「あ、あるはあるよ。ほっぺだけど」
『ほっぺって……唇はないの?』
「うん」
そう答えると、沈黙が訪れた。
「あの、紗奈ちゃん?」
問いかけてみると……
『信じられない。あの佐野先輩が……どれだけふゆのこと大切にしてるのよ』