チャラい彼は、意外と一途
独り言みたいにぼそりとそう呟いた。
大切にされてる……?
いや、まぁそうかもしれない。
『ふゆはしたいと思わないの?』
「……したいよ。でも、どうしたらいいか分からないし」
『だったら、ふゆから言えばいいのよ。キスしたいって』
「えぇっ……」
そんなの恥ずかしい。
『恥ずかしがってたら、いつまでもキスしてもらえないわよ』
うぅっ……究極の選択だ。
「……そうだね、言ってみるよ。恥ずかしいけど」
「よく言った!あ、プレゼントのことだけど、半分本気で半分冗談だから。気にしないでよ。佐野先輩の欲しいものなら、仲が良い律先輩なら知ってるんじゃない?」
「あ、確かにそうだね。ありがとう、紗奈ちゃん」
『どういたしまして。デート明日なのよ?楽しんで』
「うん!あ、紗奈ちゃんは凍堂先輩を誘わないの?」
『あ、うん。私、今年のクリスマスは忙しいから。どっちにしろ誘えないんだ。だから、私の分まで楽しんできなさいよ。しゃあね!』
ピッと電話が切れて、今度は最近交換した凍堂先輩にかける。
佐野先輩はきっと知らないだろうけどね。
『もしもし。ふゆちゃんがかけてくるの珍しいね。どうしたの?』
「もしもし。いきなりかけてすみません」