チャラい彼は、意外と一途


あれってもしかして……


近づくと、だんだんシルエットがはっきりとしてきた。


やっぱり、あの人は……


「佑都先輩!」


呼びかけると、その人はゆっくりとこちらを見た。


「ふゆちゃん、早いね」


にこっと笑いかけられて。


早いって今何時……?


上にある時計台を見ると、4時を指していた。


約束の30分前。


遅れたというわけではないし、むしろ早すぎるくらいなのに、もう佑都先輩は来てる。


「佑都先輩こそ、早すぎじゃないですか?」


「僕は万が一を考えてだよ。当たると思ってなかったけど」


それは、私が早く来るかもしれない可能性を考えてってこと……?


でも、早く来なかったら30分……ううん、それ以上待たないといけないのに。


「それにしても、今日の服装と髪型可愛いね」


私の服装と髪型を見て、息をつくみたいに褒めてくれる。


「あ、ありがとうございます」


そんなの他の女の子で言い慣れてそうだけど。


それでも、可愛いって言ってもらいたかったし、私に言ってくれたのは事実だから。


佑都先輩自身はカジュアルな服装だけど、とてもかっこいい。


……佑都先輩の私服初めて見た。


本当にかっこいいし、とても似合ってる。


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