チャラい彼は、意外と一途


ピピッて鳴った体温計。


見せてもらうと、38度だった。


「これ、病院で見てもらった方がいいんじゃない?」


「そんなの無駄に金使うだけだろ。別にいい」


湊君はいつもこうだ。


こういう性格は、子供の頃から変わってない。


「ふぅ。湊君は、そのまま寝てて。安静にしてなきゃダメだからね」


「あぁ、分かった」


熱くなったタオルを替えさせてもらって、台所に行った。


お粥を作ろう。


食べてもらえるかは分からないけど、何も食べないってわけにもいかない。


お粥は1度も作ったことがなかったから、インターネットを見ながら作る。


えーと、これはこうして……料理はまあまあ得意だから、多分失敗することはないはないはず。


ピッと押して、後は待つだけ。


もう1回様子見てこようかな。


音を立てないように、そっと湊君の部屋に入った。


ちゃんと寝ていて、寝息を立ててる。


起こさないように気をつけながら、タオルに触れた。


少し熱くなっていて、またタオルを替えた。


それから、少しだけ湊君の顔を見つめてから、台所に戻った。


もちろん、まだ炊けてないから炊けるのを待った。


その間、私は予習や復習をしたりしてちゃんと勉強をする。


少しでもしないと、天才じゃないから置いていかれる。


それだけは、避けなくちゃいけないから。


< 26 / 300 >

この作品をシェア

pagetop