チャラい彼は、意外と一途
「いらっしゃい」
「お久しぶりです、祐奈さん」
「まぁ、ふゆちゃん。久しぶりね。相変わらず美少女だわ」
「そんなことないですよ」
覚えてもらえているのか不安だったけど、大丈夫だったみたい。
相変わらず冗談を言うのが好きなんだなと思いつつ、美少女という言葉は否定する。
実際、美少女じゃないからね。
「相変わらず自覚がないみたいね。あら、そちらは初めましてかしら」
「はい。中村萌って言います」
「萌ちゃんね。よろしく。私は紗奈の母の祐奈です。あなたは美人さんね」
うん、それには納得。
誰が見ても、萌ちゃんは美人さんだ。
「あはは。そういう祐奈さんの方が美人ですよ」
「まぁ。お世辞が上手いこと。ふふっ、上がって上がって」
紗奈ちゃんから聞いてたのかな……?
迷惑がられると思ったけど、友好的に接してくれてる。
元から、祐奈さんは優しくていい人だけど。
「今からご飯作るわね。できたら呼ぶから、ゆっくりしてて」
お茶目にパチンとウインクをして、部屋から出ていった。
「あのノリ、いつまでやるつもりなの……」
「でも、祐奈さんには似合ってるよね」