チャラい彼は、意外と一途
拗ねたような表情。
そんな表情は可愛いなと思った。
本人には言わないけど。
「私と紗奈ちゃんと萌ちゃんの3人でお泊まり会してたんです」
「へー、お泊まり会かぁ。その3人でなんだ……なんか、珍しいね」
「はい、ですよね」
昨日はよかったと思う。
「引き止めてごめん。そのことだけ聞いておきたかったんだ。じゃあ、僕は行くね」
ちょうど凍堂先輩の話も終わったみたいで、2人で3年生の教室へと続く階段を登っていった。
「結局、その話をしにきただけだったのね」
「ふふっ。うん、変なとこで心配症だよね」
そう言ってるってことは、凍堂先輩の話も一緒だったってことだよね。
似てるな、あの2人……
クスリと笑った。
少しずつ時間が過ぎていく。
佑都先輩の卒業式まであと少し。
もう今の時点で、だんだん寂しさが増してきた。
「どうしたの?ふゆちゃん」
黙っている私を心配そうな顔で覗きこむ。
「いえ、寂しいなと思ってしまって。佑都先輩、もうすぐ卒業だから」
「確かにそうだけど。まさか、ふゆちゃんが寂しいと思ってくれてるなんて知らなかったよ」