チャラい彼は、意外と一途
卒業式当日。
私達は1年生だけど、参列してる。
この学校ではそうなんだ。
2年生だけでなく、1年生も参加するんだよね。
「卒業生代表、佐野佑都」
「はい」
代表で読んだのは生徒会長ではなく、佑都先輩で。
今回は眠くなったりせずにちゃんと聞いてたから、佑都先輩の人気をよく実感した。
……皆、見惚れてる。
佑都先輩の答辞にきちんと耳を傾けてる。
いいことのはずなのにね。
でも、なんかやっぱり……そう思ってしまう自分が嫌で嫌でしょうがなかった。
卒業証書を受け取るために、ステージに上がった佑都先輩。
またもや、皆見惚れてる。
きちんと制服を着ていて、しゃんとしてる。
いつもより真面目感が出てる気がする。
モヤモヤ、自分の中で消化しきれない想いを最近引きずってる。
卒業証書の受け渡しが終わると、卒業式が終了。
まずは教室に戻る。
3年生も教室に戻って、メッセージとか言い合ったりするみたい。
その後、1・2年生による見送りがあるんだよね。
まだ指示がないから、終わってないんだろうけど。
「はぁ。律先輩卒業かぁ」
「うん。やっぱり寂しいよね」
「ほんとそれよ」
紗奈ちゃんと話しても消えない。
紗奈ちゃんも同じことを言ってるからだけど。
やっぱり寂しくて、不安でたまらないんだ。