チャラい彼は、意外と一途


そうは分かってるけど、諦めてほしかった。


だって、紛れもなく私は佑都先輩の彼女だから。


「しょうがないな。ふゆちゃん、上向いて」


「……?」


どうしてかは分からなかったけど、とりあえず上を向いた。


すると、近づいてくる佑都先輩の整った顔。


……唇が重なった。


優しく甘いキス。


ここは学校ですよ!とか、いつもなら言うセリフも出てこなかった。


ゆっくり離れていくとら唖然としている女の子達が目に映る。


「僕はこの通りふゆちゃんに夢中だから。ふゆちゃんのことが好きよりももっと上。愛してるんだ。僕はもうふゆちゃんのことしか好きにならないし、ふゆちゃん以外の人とどうこうなろうとも思わない。だから、ごめんね。さぁ、行こう。ふゆちゃん」


少し経ってから、悲鳴が聞こえてきた。


遅いんじゃないかなと思ったけど、今は至福に満ちていた。


……佑都先輩、私のこと好きすぎですよ。


人通りの少ない場所に連れていかれた。


「あの、佑都先輩」


「これで、不安は解消できた?」


優しく微笑んでくれる佑都先輩。


完全にとは言わないけど、だいぶ解消された気がする。



< 298 / 300 >

この作品をシェア

pagetop