チャラい彼は、意外と一途
彼女が来たと分かった時の嬉しそうな顔。
それを見るだけで結構きつい。
「おはよう!」
「おはよう」
そう言ってから、湊君は私を見た。
「そういえば、ちゃんと紹介したことなかったな。こいつ、中村萌。俺の彼女」
「初めまして、中村萌です!一ノ瀬さんだよね?」
紹介なんてしてくれなくていいのに……
でも、私の気持ちを湊君は知らないんだろうから仕方ない。
「初めまして。うん、合ってるよ。私は一ノ瀬ふゆ。湊君の幼馴染みなんだ。湊君のことをよろしくね」
このまま無視するわけにはいかず、よろしくなんて思ってないくせにそれを隠して笑って言った。
……ちゃんと笑えてるかな?
「はい!よろしくしちゃいます!」
本当に可愛いな。
こういう人だから、湊君は好きになったんだよね……
「お前によろしくされてる覚えはないけどな」
「うわー。酷いよ、湊!」
仲良いんだなぁ……
でも、それを微笑んで見られるほど私に余裕はない。