チャラい彼は、意外と一途


「ふゆちゃんと仲良いんだね」


「はい、仲良いですよ」


「そっか。ねぇ、ふゆちゃん」


そう言って顔を近づけてきた先輩に、少し警戒した。


そんな私に少し笑った後、耳打ちしてきた。


「久隆君には気をつけなよ」


えっ……?


先輩を驚いて見ると……


「じゃあね、ふゆちゃん。久隆君も」


去っていってしまって、その意図は分からなかった。


皆して言う言葉……


どういうことなんだろう……?


何で、私の知ってる人達は久隆君のことを警告してくるの……?


「一ノ瀬さん、どうかした?」


「あ、ううん。久隆君、さっき言いかけたことなんだったの?」


「あぁ、別にたいしたことじゃないよ」


紗奈ちゃん、湊君、佐野先輩の3人が同じことを言った。


そのことが気になってしょうがなかった。


昼休み、先生からの頼まれ事で理科室に実験に使う時に使う物を運んでいた。


重くて、きつい。


でも、頑張って運んでいると……


「重そうだね。手伝おうか?」


久隆君が手伝ってくれた。


優しい人だな……


やっぱり、大丈夫だよ。


久隆君は優しいもん。


理科室まで持っていってくれた時、私はお礼を言った。


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