チャラい彼は、意外と一途

「久隆君、本当にありがとう。助かったよ」


「いえいえ。先生も酷いね。女の子にこんな重い物を持たすなんて」


この日から、すっぽり警告が頭からすり抜けてしまったんだ。





あれから、久隆君と仲良くなった。


久隆君は優しいし、いい人。


そうすっかりインプットされてしまっていて、私は普通に信用していた。


「ねぇ、一ノ瀬さん。話があるんだけど、放課後いいかな？」


「……？うん、いいよ」


話ってなんだろう……？


気になったけど、放課後って言ってたから待つことにした。


それを紗奈ちゃんはバッチリ聞いてたみたい。


すごく不安そうな顔をしていた。


放課後になって、また久隆君が話しかけてきた。


「じゃあ、ちょっとついてきて」


「うん、分かった」


久隆君が動き出して、その後に続こうとしたら……


「ふゆ、待って！ねぇ、久隆君。それ、私も行っちゃダメ？」


紗奈ちゃんに止められた。


どうして、紗奈ちゃんはそんなこと言うんだろう……？


そう思った時、ここ最近忘れてた警告を思い出した。


紗奈ちゃんは、久隆君のことをよく思ってない。