チャラい彼は、意外と一途



「いや、無理。これは、一ノ瀬さんに話したいことだから。行こう、一ノ瀬さん」


「うん。紗奈ちゃん、大丈夫だよ。ちょっと待っててね」


久隆君についていくと、着いたのは人通りが少ない校舎裏。


「ここで話をするの?」


「うん、そうだよ」


その時、何故かまた嫌な予感がしたんだ。


何でだろう……?


でも、それは後になって分かった。


「あの、話って?」


「うん……俺、一ノ瀬さんが好きなんだ」
 

……えっ?


突然の告白にかなり驚いた。


久隆君が私を好き……?


そんな素振り、今まで見せなかったのに……


「だから、付き合ってほしいんだ」


驚いたけど、ちゃんと断らないとって思った。


私には好きな人がいるから。


「ごめんなさい。私、好きな人がいるから。久隆君とは付き合えない」


申し訳ないという気持ちも込めて、頭を下げた。


優しい久隆君なら、受け入れてくれるはず……そう思って。


「はぁ、やっぱりダメか」


明らかに声色が変わった。


恐る恐る顔を上げると、さっきまでの久隆君はいなくなっていた。


冷たい顔で、冷たい声。


「意外といけるんじゃないかって思ってたんだけどな」


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