チャラい彼は、意外と一途
こんなに冷たく笑う久隆君を私は知らない。
「久隆、君……?」
何で、こんなに……
「まさか、本気で言ってると思ってる?」
今度は、馬鹿にしたような声。
それは、目の前の久隆君から発せられてるもので……
「んなわけないじゃん。ちょっと賭けをしててさ。それに一ノ瀬さんが選ばれたんだよ」
「賭け……?」
「そう。俺の友達とね。皆は一ノ瀬さんを落とすのは無理だと思って、結構な額を賭けてくれたんだよ。それに、檜山の幼馴染みで佐野のお気に入りの一ノ瀬さんを落とせば、2人はどんな顔をするのか気になったから。だから、受けたんだ」
知らなかった……
久隆君がこんな人だったなんて……
まるでゲームのように言う久隆君。
紗奈ちゃん達はこれに気をつけろって言ってたんだね。
ちゃんと聞くべきだった。
「優しくしてくれたのも私を落とすため?」
「あぁ、そうだよ。全ては一ノ瀬さんを落とすためさ。それに、さっき言った檜山と佐野のことは個人的にも気に入らなかったから。まぁ、結局は失敗に終わってしまったわけだけど」
こんな人を優しいと思っていたなんて……
信じられなかった紗奈ちゃん達に申し訳ないよ。
「でも、せっかくだしキスでもしたら少しくらい賭け金もらえるかな」
「えっ……」